近年目立つのが、高齢者をターゲットにした特殊詐欺です。
特殊詐欺の一端を担うのが、闇バイトで集められた受け子と言われる存在となります。
本稿では、もし闇バイトと知らないまま受け子の役割を担っていて警察に検挙された場合、どのような罪に問われ、どのような刑罰を受けるのかを解説していきましょう。
闇バイトとは知らなかったと証言しても刑事罰を受ける可能性が高い
刑事罰の対象となる場合には、「犯罪の故意」の有無が重要です。
自身が行った行為が犯罪行為であると気づいていた場合、つまり故意に行った場合は刑事罰の対象となります。
受け子が「闇バイトだとは知らなかった」と証言した場合、犯罪の故意がないように見えますが、それでも刑事罰を受ける可能性が高いという理由を解説していきます。
闇バイトの可能性に気づいていたと推認されれば故意があったとされる
多くの闇バイトは、通常のアルバイトと比較して高額な報酬が特徴です。
しかも受け子という行為も、一般的な日本人であれば犯罪行為かもしれないという認識ができるはずです。
犯罪の故意とは、どのような罪状の犯罪であるかを認識している必要はありません。
「なんとなく違法行為のような気がする」程度の認識でも、状況によっては犯罪の故意があったと認定される場合もあります。
そのため、例え闇バイトと知らなかったとしても、受け子が刑事罰の対象となる可能性は高いといえます。
受け子の刑罰に関して
特殊詐欺の受け子として犯罪に加担してしまった場合、どのような罪に問われ、どの程度の刑罰を受けるのでしょうか。
受け子が問われる罪
特殊詐欺の受け子にもさまざまなケースがありますので、すべてが同じ罪という事にはなりません。
その中でも多いといわれているのが、「詐欺罪」や「窃盗罪」といった罪です。
被害者を騙して現金やカードを受け取ったとみなされれば詐欺罪の可能性が高いですし、被害者から盗み取ったとみなされれば窃盗罪の可能性が高くなります。
受け子が受ける刑罰
刑罰に関しては、犯した罪によってさまざまです。
上で示した「詐欺罪」の場合、法定刑は「10年以下の懲役」(刑法第246条)です。
「窃盗罪」の場合の法定刑は「1か月以上10年以下の懲役」または「1万円以上50万円以下の罰金」(刑法第235条 刑法第12条1項 刑法第15条)となります。
いずれも重い刑罰ですが、裁判において反省の程度や示談成立の有無、また被害者の方の処罰感情を加味した上で、最終的な刑罰が決定します。
まとめ
闇バイトと知らずに受け子として犯罪に加担してしまい、警察に検挙された場合、勾留、起訴され、有罪となってしまう可能性が否定できません。
そのため警察に逮捕された場合、まず弁護士に相談、依頼することを検討してください。
早い段階で弁護士に相談すれば、被害者と示談が早期に成立し不起訴になる、もしくは執行猶予付きの判決になるなど、刑が軽くなる可能性があります。