慰謝料とは、被害者の精神的・肉体的な苦痛を金銭に換算したものをいい、交通事故が発生した場合、通常は加害者から被害者へ支払われます。
慰謝料の額は、特に精神的苦痛の場合だと、苦痛・損害の程度は目視できず、どれほどの苦痛・損害を被ったのかを算定することは非常に難しいため、実務では精神的苦痛を数値化した以下の3つの基準を用いて算定します。
①自賠責保険基準
法令で決められた最低限の補償を行うことを目的とした基準で、金額は3つの基準の中で一番低く設定されています。この基準は自動車損害賠償保障法に基づく基準です。
②任意保険基準
任意保険各社が集積させてきた交通事故に関する過去のデータをもとに作り出した各社独自の基準をいいます。自賠責保険基準よりも同じかやや高めに設定されていることが多いです。
③弁護士基準(裁判基準)
過去の判例をもとに設定された基準で、3つの基準の中で最も高く設定されています。
保険会社との示談交渉では②任意保険基準で賠償額が支払われることが多いですが、弁護士に依頼して保険会社との示談交渉を任せると③弁護士基準で賠償額が支払われやすくなるため、賠償金を多くしたいのであれば弁護士に依頼するようにしましょう。
慰謝料と同じような用語として、損害賠償があります。
損害賠償とは、自己の行為により相手が被った不利益を償うことをいい、慰謝料よりも広い概念であるとされます。つまり、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償となりますが、損害賠償は精神的苦痛に対して償うものと、財産的損害に対して償うものという2つの要素からなります。
例えば、ある者が運転する車で他者をはねて怪我をさせてしまった場合、他人の権利や利益を侵害したということで金銭的な賠償を支払うことになります。
交通事故における損害賠償は不法行為責任に該当するもので、民法709条にその根拠があり、交通事故の被害者が加害者の運転上の故意・過失を立証する責任を負います。
また、損害賠償の対象となるのは、交通事故と相当な因果関係にある損害に限られます。例えば、被害者の病気(ガンなど)が交通事故後に悪化したとしても、このような病気は通常交通事故によって生じ得る損害ではなく、また加害者に予見し得るものでもないため、損害範囲に含まれないのが一般的です。
その他、損害賠償請求を行うには専門的な知識を必要とするため、請求の際は弁護士に依頼する方がよいでしょう。
伊藤幸紀法律事務所は、慰謝料・損害賠償請求や、示談交渉、事故後の対応の仕方などの交通事故をめぐる様々な法律相談を承っております。
当事務所は名古屋市内をはじめ、愛知県、三重県、岐阜県各地のご相談に対応しています。
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慰謝料・損害賠償
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